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ソムリエの追言「続・ワインの金賞」


ソムリエの追言
「続・ワインの金賞 ~どうやってワインを選べば良いのか~ 」



前回のメルマガにて品評会やコンクールでの評価がワインの品質とは関係がない場合も多いとお分かりいただけたかと思います。 もちろん、世の中の品評会が全部でたらめだと言う訳ではありません。メダル

国際ワイン&スピリッツコンペティション(IWSC)やチャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァンなど一部のワインショーでは、厳格かつ公正な審査が行なわれ、中には確かに美味しいと思えるようなワインも存在します。

さて、先週のメルマガに頂いた感想の中で 「MICHIGAMIワインで金賞を受賞したワインはないのですか?」 とのご質問をいただきました。 実は当店の看板ワイン、シャトー・ラ・ジョンカードも1989年までは、色々と賞をとっていました。

しかし、いくつかのまともな品評会を除き、ブラインドテイスティングすら行なわない、あまりにもいい加減な評価なので、ほとんどの良識あるワインメーカーは品評会から撤退していきました。 1990年以降、シャトー・ラ・ジョンカードも品評会への参加をとりやめています。 品評会には、あくまでもこちらから出品しない限り評価はつかないのです。

【ワインを選ぶには】

では、金賞ワインは必ずしも当てにならないとなると、一般の消費者の方はどうやってワインを選べば良いのでしょうか? 簡単にまとめると、次の3つがあげられます。

1・作り手がはっきりしている物を選ぶ
2・輸送や保管がしっかりしている事
3・ワインをよく飲む人に聞く

まず作り手ですが、様々な畑から安く仕入れたワインを集め、ブレンドして造るネゴシアン物のワイン。これは沢山飲むと翌日頭が痛くなるものが多いので、なるべく避けたいところです。作り手の個性も薄く、つまらない味のものが多いのです。

シャトー元詰め ラベルに「mis en bouteille au Chateau(シャトー元詰め)」や「mis en bouteille au propriete(生産者元詰め)」と書かれたものをお勧めします。

次に、輸送の方法や保管の状況を意識します。
同じ樽でも味が違うと感じる人がいるほどなので、ましてや年数を重ねれば同じ銘柄、同じ年でもボトルによって味が違ってきて当然です。

どれだけ小綺麗に並べられていても、どれだけ美しく包装されていても、 店頭に並ぶ前の流通や保管がしっかりされていたかが重要なのです。 一般の酒屋さんでは輸送や保管に気を遣っているお店はほとんどありません。なるべくワイン専門店、しかも海外から直輸入しているお店を選びましょう。

ワインの流通は、何社もの業者を経由せず、なるべくシンプルに運ばれてきた方が劣化のリスクも少なく、無駄なコストもかからないのです。

ただし、専門店といっても何千種類もワインを揃えているようなお店は、一見本格的に見えるかもしれませんがあまり信用はできません。 それだけ膨大な種類のワインを扱っているという事は、実際に店頭に立つ販売員の一人一人がワインの状態を吟味する事はほぼ不可能と言えます。 品揃えの豊富さをうたっている専門店に限って、飲んでもいないワインを適当に勧めてくるスタッフのなんと多い事でしょう。

きちんと試飲し自信をもってワインを勧めているお店ほど、おのずと商品の種類も絞られ、その分ロット(数)を多く仕入れられ、ひいてはワインの価格も安く抑えられるのです。

3つめのポイントは、やはりワインをたくさん飲んでいる人に教えてもらうのが一番の近道です。 私の場合は、普段よく行くお店で店長さんの説明を受けながらワインを選んでいます。 銘柄よりも年代よりも、今そこのお店に並んでいる状態で、どれが一番美味しいかが重要だからです。

これは レストランでも同じ事が言えます。お店の方がよく飲んでいるワインで、美味しいとお勧めしてくれる物を選びます。 その方がソムリエかどうかという事は関係なく、実際に飲んでみてどう思ったかが重要なのです。 そのかわり、不味いと思うワインには勇気を持って、「不味い!!」と言いましょう。 自分の意見をはっきり伝える事で、より自分の好みに合ったものを探してくれるでしょう。

道上の独り言
僕は、雑誌を読んで新しいレストランを開拓した事は一度もない。 自分が美味しいと思う行きつけのお店、そこのシェフに新しいお店を尋ねます。 または、食通の友達に美味しいお店を教えてもらいます。 彼らは自分と味の好みが一緒だからです。 ワインも同じく、知名度ではなく友人に教わったコストパフォーマンスの良いものを選んでもらいたい・・・良い友人を持ちましょう。

1980年代の事でしょうか。
ヴェニスでお友達になった女性をレストランに招待し、オーナーシェフにどのワインが美味しいかと聞き、「500円のハウスワインだ。」との答えに対し、自分は気取ってみせ約一万円のワインを注文しましたが・・・

そのワインはひどく不味く、シェフにその旨を伝えたところ「だからウチのハウスワインが一番だと言っただろうが!!」と叱られ、美しいイタリア人女性を前にして、大変恥ずかしい思いをしました。


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