名人のこだわり「塩味の境界線」
名人のこだわり
「塩味の境界線」
先日、とても微妙な差が大きな差を生む、
塩が分けた「面白い境界線」を感じる事がありました。
海老を天ぷらにして赤ワインで頂きました。
大変に甘みを感じられる海老で、
塩をつけて食べますとふわっと丸い甘みが口の中に広がります。
しかし、塩を付けずに食べてみますと、
塩気としても海老自体の塩味で十分で、甘さも分かるのですが、
なんだかくぐもったような甘さと味に感じてしまいます。
もう一つ面白い事が、一緒に飲んでいたワインとの関係でした。
塩を付けた時には海老に対してワインが「従」となっており、
海老の旨みをワインがより美味しく感じさせるような、良い組み合わせでした。
しかし、塩を付けない海老の後に同じワインを飲みますと、
今度はワインが海老の上に来て「主」となってしまい、
バランスを崩してしまう事になりました。
この組み合わせで海老とワインを合わせていたら、
「この組み合わせは合わない」と判断してしまう程の変わり様です。
このように、微妙な塩の有無だけで「合う」「合わない」までを変えてしまう事もあります。
ワインと食事の相性を、「肉は赤、魚は白」などと単純な言葉で片付けられるとは
とても思えません。
しかし、そこが難しくも、面白くもあるのです。
塩が人体にとって不可欠な物である以上、
味覚としても重要な部分であり、料理にとっても不可欠な「味の柱」となるのでしょう。
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