名人のこだわり「肉について ~捕獲方法、しめ方について」
名人のこだわり
「肉について ~捕獲方法、しめ方について」
「野鳥の捕獲方法」
野鳥の鴨などは、網で獲るのが一般的ですね。
九州の、何か所かそういった所とお付き合いがあるんです。
他の捕獲方法は猟銃ですね。基本的にはその二つで捕まえます。
絞め方では、フランスでは「窒息」というのもありますね。
銃で撃った野鳥はどうしても片方の胸肉、
弾が入った側の味が落ちてしまうんです。
血が多くそちらに集まり、なんと言ったらいいんでしょうか・・・。
全般に「ストレス」のような物がかかるんですよ。
マグロなども血が回った身は美味しくない。
臭みが出てしまいますよね。
お客様が男女お二人、のような場合には、弾の当たっていた方を男性に、当たっていない方を女性に提供する場合が多いです。
比較してしまうと、弾が当たっている身の方が臭みが強いので、女性の方には嫌がられる場合があるからです。
勿論、極力出来るだけ処理をし、抜くようにはします。
ただ難しいのは、抜きすぎてしまうと今度は味が無くなってしまうんです。
その辺りを、なんとかバランスが良くなるように調整をしています。
ブレス産のプーレ(生後7週から12週齢くらいに飼育した鶏)
石川小芋
万願寺唐辛子
「四つ足(牛・豚など)の動物のしめ方、寝かせ方」
屠畜する際には動物にストレスが掛からないようにする事も大事で、
血の匂いや、叫び声が聞こえないようにするんです。
そういったものを感じ取られてしまうと興奮してしまったりもするので、
ヨーロッパでは完全に隔離して処理するようですね。
また、輸送中のトラックなどでも屠畜前の四つ足は壁にぶつかるだけで人と同じように痣ができてしまいます。それだけで値も落ちてしまうので、実に慎重に運ぶそうです。
解体後に肉を「寝かせる」という事についてですが、肉の食べるタイミングとしてはフランスでは2~3週間と言われていますね。ただ、コンソメを取る際に使う肉などはそこまで時間を置かずに、どちらかと言うとゴリゴリして、焼くと固くて食べられないような肉の方が向いているんです。
ステーキ用の肉に関しても、個人的には以前よりもだんだんと置かない肉の方がいい、と思うようになってきました。置いて甘み、旨みが出てくる肉はもちろん美味しいのですが、結局はたんぱく質が分解される。
その前の方が良いのでは・・・。と考えるようになってきたんです。
ミートハンマーを使うと肉は柔らかくなりますが、組織を壊してしまうだけです。肉の「味」で食べよう、という時にはお勧めはできませんね。
西村シェフと奥様の由起子さん
お二人のあたたかいもてなしも、FONDの大きな魅力。
「FONDの歩み② シェフは「職業」として。最初の務め先」
シェフというものは「職業」としてしか考えていませんでした。
「修行」という事に関しては、今は特にですが、
必要な事、意味のある事とは思えません。
最初は、もう無くなってしまった店になるんですが、フランス料理店に勤めました。ビルの結構大きな、高級マンションのオーナーさんが住人用として、その2階に作った店です。
その頃にしては珍しく、しっかりウェイティングのバーのあるような店でした。そしてその奥に着席の座席があるんです。私はそのウェイティングのバーで働いていました。
最初にそこでプレートに乗ったオードブルをお客さんに提供するのです。多い時にはそこだけで、1日1万くらいの売上はありましたね。
40年以上前になるので、結構な額ではありました。
そこでは3年くらい務めましたね。
結局、マンションのオーナーさんがやっているお店、という事もあり自由にできる部分が多かったんです。いろいろと面白い経験が出来ました。・・・と、その辺りの事はまた次回にしましょう!
次週は「魚について ~魚の熟成について」と
「FONDの歩み③最初に務めた店」をお送りします。
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