2012年4月度頒布会ワイン・レポート 【タランス白・黒・赤ラベル・オーガニック3本セット 2000年 (木箱入)】
4月度頒布会ワイン・レポート 【シャトー・タランス 2000年 白・黒・赤3本セット】
MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、
テイスティングで紹介していきます。
今回のワインはシャトー・タランス2000年 白・黒・赤ラベルの3本セットです。
ブレンド比率の違いがワインの味わいにどのように影響してくるのか?
その辺りにも注目しながら、テイスティングでワインの紹介をしていきます。
タランス白・黒・赤ラベル・オーガニック3本セット 2000年 (木箱入)
グラスの中心は黒味を強く残したガーネット。
3つとも濃い色合いですが、透明感が感じられます。特に白ラベルには、エッジ(グラスの縁)にかけて熟成を示す明るいオレンジ色が見られ、グラスの中心から縁にかけて鮮やかなグラデーションを形成しています。
熟成がすすむと、ワイン中のタンニンと色素が澱となってワインから分離するため、ワインの色調はじょじょに薄くなっていきます。
飲み頃のピークを過ぎ、古くなったワインは全体的にくすんだ茶褐色になりますが、エッジにみられる明るいオレンジは今まさに飲み頃を迎えているという一つの目安になります。
黒ラベルは全体的に色調が落ち着いてきていますが、エッジに顕著な変化は見られません。
ヴィンテージ違いの1999年のシャトー・タランスでは、外観に白ラベルとの違いはそれほど見られませんでしたが、(どちらも飲み頃を示すオレンジの色合い)この2000年ではより完熟した葡萄から作られていると思わせる凝縮した色合いを残しています。
赤ラベルは、張りを感じさせるガーネットの色合いが強く、3つの中では一番色調の濃い、黒に近い色をしています。エッジの変化も少なく、まだまだこれから美味しく熟成をしていくと思われます。
抜栓後すぐに共通して感じられるスパイスの香り。
グラスを回していくと、そこから熟したプラムの香りが広がっていきます。
特に白ラベルからは、
果実味に加えて清涼感を伴ったハーブのような香りが感じとれます。
ハーブと言っても、摘みたてのみずみずしいハーブではなく、
乾燥させたドライハーブ、ドライミントの香りです。
土のような熟成のニュアンスも強く出ています、
3つの中で一番「土」の香りが顕著に出ています。
黒ラベルは、より強いスパイシーな香りが主張しています。
胡椒やスターアニスの香りです。
その中にスミレの花やカシスの果実味、
樽のニュアンスもふくよかに合わさっています。
赤ラベルからは、カシスを煮詰めたような甘く濃厚なコンポートの香り、
プラム、梅、バラの花、ユーカリ、シソ・・・様々な香りがあります。
それらが香ばしい樽の香りと相まって、非常に複雑なブーケ※を感じます。
逆に白ラベルに強く感じられた土の香りは、あまり感じられません。
※ブーケ
アロマと呼ばれる果実由来の花や果物、ハーブを連想させるフレッシュな香りや発酵によって生じるバターやナッツのような香りに対して、木樽やビンでの熟成によって生まれる複雑な香り。枯れ葉、腐葉土、トリュフ、獣臭、燻煙、紅茶、タバコなど様々に表現されます。
白ラベルの口当たりはスムーズでなめらか。
酸味・渋味が大人しく口の中で「ふわっ」とした果実味のふくらみを感じます。
熟成の甘味がほんのりと舌先で感じられ、
渋味成分のタンニンは、熟成によって落ち着いています。
アルコールのボリューム感は控えめでクリアーな印象。
余韻は、6~7秒。ミネラルとしては、鉄分をしっかりと感じます。
黒ラベルは、しなやかでボリュームのある口当たり。
3本の中では一番ふくよかで熟成の甘味を強く感じます。
果実の甘さと旨み、そして全体を引締める酸味、この3つが非常にバランス良く合わさっている。
タンニンも細かくこなれ、スムーズで飲みやすい印象。
ボトルの個体差もありますが、澱もかなり出ていました。
余韻は6~7秒。ミネラルは鉄というより石灰に近いです。
最後に赤ラベルですが、凝縮感の強い果汁エキス。
口当たりはしっとりとした質感、
舌の上ではふくよかで優しい果実味が広がります。
タンニンはまだしっかりと感じられ、ややざらつきを覚えます。
香りからは、飲み頃を迎えて熟成による甘さや柔らかさが出てきていると思ったのですが、正直飲み頃を迎えるのはもう少し後のようです。
余韻も一番長く8秒、スパイシーな風味が残ります。
ミネラルは、鉄と石灰をあわせたようなわずかな苦味があります。
白ラベル・黒ラベルと比べてみると、
黒ラベルの酸味・渋味・タンニンが熟成によってこなれた、しっかりとした味わいであるのに対して、白ラベルはより柔らかくてスムーズな風味、赤ラベルは味わいに深みがあるものの、タンニンがまだ大きく硬い印象をであることが判ります。
ブドウの比率のほんのわずかな違いだけでこの味わいの差、個性の違い。
まさに熟練したブレンダーの腕の見せ所です。
さて、こういった色の濃いボルドーの赤ワインは、
やはり肉料理との相性が抜群です。
3本の味わいの違いを活かし、さらに食卓を盛り上げましょう!
熟成した土の香りと合わせて、
きのこやごぼう、アスパラなどを肉で巻いて、
野菜とあわせていくなら白ラベルでしょうか。
ベーコンやソーセージの燻製香と合わせて、ポトフも良いでしょう。
鉄っぽいミネラル感からレバーペーストとの相性も良さそうです。
ペッパーステーキやスパイシーチキンを楽しむなら黒ラベル。
タンニンの強さが脂分を調和させ、スパイスとの相乗効果で
肉の風味がより引き立ちます。生ハムなど塩味の強い料理にも、
ワイン自体がもつ熟成した果実の甘味がうまく調和するでしょう。
赤ラベルは、凝縮した果実感と強いタンニンがあるので、味の濃いソースを使ったものが良いと思います。
デミグラスソース、照り焼き、すき焼きなど甘味を感じる味付けにすこしだけ、
別の赤ワインを加えると更にワインに合ってきます。
ビーフシチューなどのしっかりとした煮込み料理、
脂身が美味しい仔羊のグリルや霜降り肉などもお薦めです。
シャトー・タランスの生産地は「AOCプルミエール・コート・ド・ボルドー」。
2009年にAOC(原産地統制呼称)が変更になり、ボルドー右岸にある近隣の4つのAOCと「AOCコート・ド・ボルドー」に統合されました。
現在、新しいヴィンテージのワインには「AOCプルミエール・コート・ド・ボルドー」と表記が出来ないため、やがて赤ワインでこのAOC名は世の中から姿を消す運命にあります。
この地域は、ガロンヌ河の右岸(上流から海に向かって河を見て右)に沿って、
ボルドー市から上流のランゴンまで、約60kmにわたり広がっています。
河からの照り返しを受けた豊富な日照と粘土石灰質または粘土砂礫質の土壌で、
ワイン造りに適した自然条件に恵まれています。
自然の傾斜で水はけが良く、低い部分は粘土石灰質のような細かい土壌で、
斜面を登っていくと小石や砂利などより粗い粒子の土壌となります。
近年、目覚しく品質が向上してきているのに、有名なシャトーが少なく生産量も少ない故、注目を浴びている生産地です。
今回のワインは有機栽培によるブドウで造られたワインです。
どのワインも、熟成を通して果実の味わいが素直に出ています。
また果実味だけでなく、ミネラル分も感じられるあたりに、
有機栽培らしさが出ています。
特に今飲むなら黒ラベル、イチオシです!
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