2011年6月度「逆転のヴィンテージ その正体は 頒布会ワイン・レポート VOL13-3」
ソムリエの追言
「逆転のヴィンテージ その正体は 頒布会ワイン・レポート VOL13-3」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
お、お歯黒?
鏡を見てビックリ
赤ワインを飲んでいただけなのに、
唇が、歯が、紫色に染まっている!
タンニンがしっかりとある赤ワインであったことの証。
タンニンとは、ワインの渋味成分。
健康に良いと話題となった抗酸化物質(こうさんかぶっしつ)
<ポリフェノール>のうちの一つです。お茶のカテキンも、タンニンと同じポリフェノールです。
テイスティングコメントでは、粗い、強い、落ち着いた、丸くなったなんて表現されます。
そう、本当は、味覚ではなく、触覚。だから、イガイガ、トゲトゲ、ザラザラなんて言葉がピッタリ。
こういう言葉はフランスにはないようで、ソムリエ言葉で<収斂性(しゅうれんせい)>なんて、医療(いりょう)用語が使われました。口の中や歯茎(はぐき)が、キュッと引き締まる感覚、後は、口の中の水分を奪われるような感覚でしょうか。
「うわぁ、暴れている!」
リリース直後の、シャトー・ラフィット・ロートシルト。
試飲した時の率直な感想です。
美味しさ は 一体、何処?上品さは?
ブドウのエキスが詰め込まれた超高級ワインの
タンニンは強すぎるほどです。
でも、このタンニンが、抗酸化物質ゆえに、急激な酸化を防ぐのです。そして、ゆるやかな熟成をもたらし、あの素晴らしき熟成の世界へ導いてくれるのです。
<官能的なトリュフのような匂い立つ香り、単なる飲み物を越えたなめらかな口当たり、旨みと果実味が溶け合い、酸味とコクの調和の取れた味わいは口の中にあるのに、まるでワインに包まれているかのような錯覚を・・>
ブドウの種、果梗<かこう:実についている枝のような部分>、そして果皮に含まれるタンニン。どれも、それだけ口に入れたら苦そうなイメージ。
ワインつくりにおいては、ブドウを丸ごと漬け込むことによってワインにその苦・渋味が移っていきます。
中でも、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローは、タンニンが豊富なブドウ。
だから、そのブドウでできたボルドーの赤ワインは
長期熟成できるのです。
ブドウの実がよく熟せば、タンニンも上質で、強くなる。
つまり、良いヴィンテージのワインは、タンニンが強く、
そのタンニンによって守られ、ゆっくりと熟成していくのです。
シャトー・ラヴェルニュ 2000年
黒味がかったガーネット
中心の黒味が(ピュイ・ランドリー 2001より)強い
エッジは、赤・朱色・茶色がかすかにある。
プラック・ペッパーのようなスパイスの香り
それと、独特な湿った土。
熟成にみられる香り。
グラスを回すと、プラムのドライフルーツ、
濃い目の香りワインらしい果実の香りが蘇(よみがえ)ります。
ふくよかな口当たり
渋味成分タンニンの大きさと強さがしっかり感じられます。
歯茎を引き締める収斂性も。
丸みを帯びてきているニュアンス。
最初に、果実の甘さを一瞬感じるものの味わいの中心はコクと渋味。
余韻も長めで、スパイシーな風味が続きます。
2本のコート・ド・カスティヨンのヴィンテージ違いを比べました。
やはり、2000年の良いヴィンテージのラヴェルニューが、
2001年のピュイ・ランドリーより味がしっかりとしていました。
ヴィンテージの差で、熟成の進み具合が逆転することが
この2つのワインで実感できたと思います。
そして、その正体が<タンニン>であることを。
明日より、ボルドーで開かれる ヴィネクスポ(最大級のワイン展示会)へ行って参ります。 さらに、ボルドーにある当店の主要取引シャトーへも訪問!
ワインの最新情報、生産者やワインつくりの詳細を、とにかく かき集めてきます。
その詳細は、もちろん、このメルマガにてお伝えします!お楽しみに!