2011年5月度 頒布会ワイン・レポート 3/3「古き(樹)良き(木)ヴィエーユ・ヴィーニュVieille Vignes シャトー・クリュスクエ・ド・ラギャルシー 2001年」
ソムリエの追言
「古き(樹)良き(木)ヴィエーユ・ヴィーニュVieille Vignes 頒布会ワイン・レポート VOL12-3」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
プルミエール・コート・ド・ブライの3本目の赤ワインです。
シャトー・クリュスクエ・ド・ラギャルシー 2001年
黒味を帯びたガーネット透明感もあまりありません。
エッジの部分に 赤・オレンジ・茶色熟成(じゅくせい)の色合いです。
前回までの2本と、同じ感じです。
【左】 シャトー・クリュスクエ・ド・ラギャルシー2001
【中央】 シャトー・グラン・ノーヴ 2001
【右】 デューク・ド・テュティアック 2001
タバコの葉、ドライフラワー
非常に複雑な香り。
スパイスの香りも。
しっかりとした口当たり、酸味と渋味が引き締めている。
旨みを伴う果実味。コクも緻密(ちみつ)な味わいのもの。
そして、広がりのある味わい。 強すぎない上品なタンニン。
余韻のスパイシーさも長く心地よい。
ミネラルの苦味も感じます。
強さのコクもあるのですが、質感が非常に豊かに感じます。
そう、例えるなら、上質のエスプレッソのよう。食後に感じる幸せの1杯。
単に、濃い、強い味わいだけでなく、成分の種類が豊富に感じます。
ミネラルの成分だったり、ワインとしてできあがる酸の種類だったり。
「ヴィエーユ・ヴィーニュVieille Vignes = 樹齢(じゅれい)の高い木」ゆえでしょう。
何年以上とは、定義として決まってないようです。 30年以上のものでも ヴィエーユ・ヴィーニュと名乗っているワインもあります。 このワインは、50年以上の樹齢のヴィエーユ・ヴィーニュ。 樹齢の高い木は、それだけ、地中深くに根を伸ばし、様々な土壌(どじょう)から 成分を吸収します。
それが、ブドウの実に現われ、やがてワインへとなると 質の高いワインになるといわれています。 エスプレッソが風味を圧縮しているなら、このワインは自然の成分を凝縮(ぎょうしゅく)。
他の2種類と比べてみても、その点を、しっかりと感じて頂けるワインです。
2001年の収穫から10年が経っています。 ブドウの樹もさらに、成熟した味わいを高め続けているはず。 出来上がったワインも更に「いい味出してる」になっていることでしょう。
そうそう、その畑全てがヴィエーユ・ヴィーニュではありませんから、念のため。
200年と長い寿命を持つブドウの樹でも、 ワインつくりのブドウの樹では30~80年で植え替えられていくのが宿命。 ワインの質は、樹齢とともに上がるのですが、付ける実が減っていってしまうのです。
できあがるワインの量の減少を避けるためにも 毎年、畑の1/40~1/50を計画的に植え替えていきます。上手い具合に植え替えが進められ、世代交代が進むという仕組み。
こうして、「永遠の命」ならぬ「永遠のワイン」のつながりが出来ていくとは言いすぎでしょうか。