2011年4月度 頒布会ワイン・レポート 1/2「Pure Rose story <ピュア・ロゼ・ストーリー>/ ヴィュ・シャトー・ラモット・ロゼ」
ソムリエの追言
「Pure Rose story <ピュア・ロゼ・ストーリー> 頒布会ワイン・リポート VOL11-1」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
ヴィュ・シャトー・ラモット・ロゼ 2008年 ユニコーン
ヴィュ・シャトー・ラモット・ロゼ 2009年
詳しいコメントは動画をどうぞ。
赤みを帯びたピンクどちらも、透明感がある。
左) ラモット・ロゼ 2009年
右) ラモット・ロゼ 2008年ユニコーン
果実より野菜。 トマトに赤ピーマン。
2008年に少し、甘さを感じる香り。イチゴやオレンジのグミがあわさったような。
爽やかな果実の味わいが心地よい。控えめなのに、きちんと存在するほのかな渋味。酸味がしっかりとあり、飲みやすさをつくる。それとミネラルの 塩味と苦味のバランスが絶妙!
あとは、口の中にとどめると、感じるピリピリとしたスパイシーさ。 いろいろな味わいの成分がマルチプレーヤーぶりを発揮します。万能な辛口ロゼワイン。料理も、場所も、時間も選ばず、気軽に飲めてしまうロゼワインヴィンテージの大きな違いはありませんでしたが、逆に、いつでも安定した美味しさが楽しめます!
この季節、イチオシワインです!
いまや、フランスで始まったロゼ人気が、日本をはじめ、世界中に広がっています。ところで、すこし前まではロゼ・ワインというと南仏。
リゾート地のイメージがありました。代表はプロヴァンス地方。驚くことに、そのプロヴァンスでは、Vidaubanに国立の「ロゼワイン研究所」があります。「ワイン研究所」ではなく、ロゼにとことんこだわっているところがすごい!
プロヴァンス地方は、もちろん白も赤も造っているのにです。
そんなこだわりは、EUのロゼワインの規制緩和に「待った」をかけました。ヨーロッパ以外で、多く行なわれている、赤ワインと白ワインを混ぜてつくるロゼ。確かに、効率がいいかもしれません。でも、そこには、黒ブドウからつくる、ロゼワインのアイデンティティーがない!実際まぜてみればわかるのですが、白・赤半々では、あの美しい色合いにはなりません。
圧倒的に白が多く、ほんのわずかな赤を加えると、ロゼワインの色合いになります。でも、それは、色は違えど、ほとんど、白ワインの味なんだ!ロゼではない!ということなんです。
結局、EUは、ブレンド・ロゼをあきらめました。(シャンパーニュを除く)
今回の試飲で色・香り・味わいを通して思うのは、
「Pure」 <ピュア=純粋(じゅんすい)>というイメージ。
先の、ブレンドロゼワインとは、違い、黒ブドウから造られるロゼワインは、ブドウの特徴の純粋な部分だけを抜き出して、ワインになった気がするのです。
赤ワインが成熟した大人に例えられるなら、その成長過程。その輝いた若々しさが、純粋な魅力が、溢(あふ)れているように思えてなりません。
この時期、日本は桜の季節です。桜(ソメイヨシノ)も、冬の寒さから、春を迎えて、最初に花が開きます。蓄えていたエネルギーを使い、何も無いところに花を咲かす。
まさに、純粋な生命力のアピールでもあります。そして、春という季節。新しいはじまりがあるこの季節に 「pure 」が重なるのは偶然でしょうか。淡い色合いの、ほんのりピンクの色合いが合うのも当然ですが。
いや、そんな情緒的(じょうちょ)な話しでなくても春の繊細(せんさい)な味覚を楽しむなら、
ビールや発泡酒、ウィスキーじゃないでしょ!
桜を愛(め)でるなら、やっぱり ロゼワインですって!