2011年1月度頒布会ワインレポート2/3「 シャトー・タランス白・黒・赤ラベル3本セット 1999年 」
ソムリエの追言
「ボルドー世紀末ワイン 頒布会ワイン・テイスティング・リポート VOL.8-2」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
前回からの続きで、頒布会の赤ワイン シャトー・タランス 1999年をテイスティングで紹介しています。 本日は、黒ラベル。
白ラベルと共通するのは、スパイスの香り。
これまた食欲をそそる香りです。ワインへの期待も高まります。
なぜかというと。このスパイスの香りがあれば、
それだけ、品質のいいワインが予想されるからです。
そもそも、どうして、ワインにスパイスの香りが?
スパイスはご存知、植物の固い実や種などです。
赤ワインはブドウの実を漬け込んでつくります。 ブドウにおける固い果梗(かこう)<実についている小さな枝・茎のような部分> や種の部分が、出来上がるワインにおけるスパイスのようなもの。
だから、スパイスの香りが出てくるんです。ブドウの実とその果梗や種の部分との接触を適度に長くすれば、その成分によって、ワインが強くなります。ですので、「いいワインだろうな」とワクワクさせる香りなんです。
ところで、肉とスパイスの相性の良さは、ご存知の通り
上質の肉は、スパイスや塩だけでシンプルに焼き上げたほうが、その本来の旨みや甘味が出てくるもの。そこに、アクセントのピリッとした刺激が加わって味わいが立体的になるものです。スパイスの香りがある赤ワインに肉料理ラムチョップのグリル、牛ロースのペッパーステーキが合わないはずありません。
さらに香りを採ると、スミレの花が加わったような香りが。
花の香りは、日光に恵まれ、果実が十分に熟したことを意味します。
スミレの花といっても、華やかよりも深みのある香りとでもいいましょうか。
ボルドー赤のカベルネ種ブドウの特徴です。味わいも比例して深くあれと願ってしまいます。
ここでグラスを回すと、果実の香りが出てきます。カシスの香り。
スッキリした感のフレッシュなカシスよりも、濃い目の香りがあります。これは、香りの成分が強い。エキスのような、カシスのリキュールの香りです。甘味を思い起こさせます。この香りだけでも、満足できます。
これは、つまり、果実が濃縮(のうしゅく)された味わいであること、または、よく熟した果実からつくられていることを意味します。白ラベルよりも、エキス分がたっぷりと詰まっている!
ますます期待「大」です。
熟したブドウは、糖分が上がり、ワインのボディをつくる、アルコールの土台にもなりますが、コクとともに、それだけ、ワインに力を与えます。いきいきとした生命力あるワインになるんです。 うーん、香りだけでも、わくわくさせてくれます。
ちなみに白ラベルには、樽熟成(たるじゅくせい)による香りが、コーヒーの香りとして現れていました。熟成がより良い状態になっている証です。
しなやかな口当たり。バランスが取れています。
変に目立つ味わいが感じられない。自然な流れ。美味しさにプラス、「上品」。
品質がいい。ボルドーワインの「品格」を感じます。
酸味・果実味がお互いに引き締めあい、流れるような、なめらかさをつくっています。
なにか、飲んでるこちらも、身が引き締まるような。
赤ワインがもつ独特の筋肉質な部分が感じられます。
白ラベルのふくよか・柔らかさとは、明らかに違う部分です。
果実味は、まだ甘いと感じるまではいかないですね。熟成によって、酸味や苦味・渋味が落ち着いてくると、果実の味わいが甘さと、更に旨みになります。もう少し時間をおくと、その部分がでてくるかも知れません。ただし、これは厳密に言った場合。十分、果実の味わいがあり、バランスのとれた引き締まった、美味しさがこのワインにはあり、飲み頃を迎えています。
また、味わいの後半にタンニン(渋味成分)を感じます。やや大きめのタンニンです。ザラつき感があります。 白ラベルよりもはっきりとその強さを感じます。 カベルネ・ソーヴィニヨン種がもつ渋味成分の強さが現れています。
ここが大事です。力のあるブドウからできたワインが熟成すると、味わいの後半にタンニン分を感じる。 熟成していないと、最初から渋く飲みづらいです。というか、美味しさを感じる人は少ない。 でも、このワインは、味わいのアクセントとして、タンニンを感じます。
これこそ真のボルドーワイン。
こうなると、肉料理でも鶏肉や豚肉など白身で軽めの肉質のものより、パワフルな質感の仔羊・牛肉のステーキやグリルがピッタリです。
赤身の肉の部分と脂身の噛み応えある味わいを、渋味が中和させます。
タンニン分が大きいといっても、10年以上の時間がたったもの。
牛ロース肉をすこし厚めにカットしたものを、ミディアムに焼き上げたものと、あわせるのがお薦め。タンニンの強さが脂分を調和させ、 スパイスとの相乗効果で肉の風味が引き立ちます。 しなやかな味わいとタンニンがある特徴を活かせば、他にもいろいろいけます。
羊も、仔羊にこだわることなく、レア、ミディアムレアが美味しいジンギスカンなども良いですし、スパイスや肉の旨みが溶け込んだ牛ホホ肉のワイン煮込みとのなめらかな味わいを堪能するのもいいですね。
鶏肉ならレバーの焼き鳥、味付けは塩。豚肉ならベーコンを加えるなり、スパイスをたっぷり、風味アップで。ワインと合うこと間違いありません。
記念日など一手間かけた料理を作るときに、このワインを最高のパートナーとして、迎えてあげてください。食事を、雰囲気を楽しむ、大切な人ととの一本にお薦めします。
私は、やっぱりこの味わいなら、ラムチョップを焼き上げて、まずは、肉の部分と脂身の部分と併せて、その後は骨にこびりついている部分を手で掴んで・・・。
あ、いつの間にか、 ヨーロッパではあまり高級ではない羊で、しかも食べ方も。
「上品」な味わいのワインとしての、紹介でしたのに。
(日本の庶民派の自分としては仔羊が十分、高級のイメージあるのですが。)
せっかくの、飲み頃を迎えたワイン。
ちょっとした魔法(まほう)でさらに高級感を加わえた美味しさにしてしまいましょう。
その秘訣は?3つ。抜栓のタイミング・温度・グラスです。
たとえ¥1000円のデイリーワインでも、プチ・高級ワインに変身!
このワインは、オリがありますので、飲む前4日~1週間位はボトルを立てて置きます。
ここまでは、前回伝えています。
温度の理想は16~18度。ワインセラーが無い?・・・そんなのへっちゃらです!
まずは、当日、飲む1時間前に、抜栓しましょう。少しだけ味見をしておくのもお薦めです。
次に、コルクなどで再度栓をして、そのまま立てて冷蔵庫で、 1時間ほど冷やしてください。
温度計で、計らなくてもいいです。ボトルをさわった瞬間、ひんやりとし、 10秒くらいでその冷たさが手に馴染(なじ)む感覚が目安です。
冷蔵庫から出して、コルクをとり、10分ほど室温に馴染ませてください。
そして、なるべく大きめのグラスに静かに注ぎましょう。
量の目安は、グラスが一番、膨(ふく)らんでいるところまで。
これで、このワインは魔法にかかって、さらに美味しくなってます!
次回は、シャトー・タランス 1999年 のリポート最後 赤ラベルのリポートです!
お知らせ
※まもなく まもなく、とんでもないスパークリングワインとシャンパーニュを積んだ船が入港いたします! 確実に日本へ近づいてきてますので、もうすこし、お待ち下さい!!
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