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2010年8月頒布会レポート「これがワインテイスティングの奥義!?頒布会ワインで実践」VOL.3
「これがワインテイスティングの奥義!?頒布会ワインで実践」VOL.3 ●外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
シャンパーニュ ブリュット ミレズィメ 2002 ベルナール・ジラルダン
さて、今回は豪華(ごうか)です。 何が豪華ってミレズィメ 年号入り つまり ヴィンテージ シャンパーニュです。
シャンパーニュは品質安定の為、造っておいた 何年か分のワインを常に残しておいて、新しくシャンパーニュを造る際にブレンドするのが基本なんです。
でも、作柄が良い年にはその年のブドウのみを使って、シャンパーニュを造ることもあります。これは、例外的なことで、シャンパーニュでは毎年ヴィンテージシャンパーニュを造るわけではありません。普通のワインでは、年号入りが当たり前なんですが。
では、心して味わいたいと思います。
まずは、いつもどおり 冷蔵庫などでしっかりと冷やしてから、静かに開けてください。 静かにグラスへ注いで・・・。 炭酸ガスの泡の広がり方。 表面に集まり、その後の泡の粒の大きさ、やはり細かいです。
真珠のような気泡が立ち昇り、液面中央に泡の集まり ムースをつくってグラスの縁ではしっかりとコルドンと呼ばれる泡の集まりが出来てますね。 ここが、スパークリングとヴィンテージシャンパーニュの違いです。 泡の細かさは炭酸ガスが7年越しに静かにワイン溶けこんでいた証(あかし)でもあります。
見とれている場合ではありませんね。
さて、色合いです。やや、黄色味があるでしょうか。 なにか、リンゴジュースのように少し黄金色っぽさもありますね。 このあたりは熟成によるものでしょう。
グラスに鼻を近づけなくても、香ってきますね。香りが強いです。 最初に、桃やパイナップル などのフルーツの香りが溢(あふ)れてきます。 何か香りが爆発してる感じですね。
グラスを回してみると、シャンパーニュなど樽の風味由来のビスケットやこげ臭などが感じられます。
かすかに 酵母臭(こうぼ しゅう)イーストの香りもします。 これはすこし判りづらいですので、また後で。
色、香りからすると、味わいの濃さも予想されますが、7年の熟成(じゅくせい)をへてますので ・・・。どんな味わいでしょうか。
では、味わってみましょう。
口当たりが強いですね。炭酸の刺激もさることながら、果実味の強さが痛い程感じます。 他の成分によって、はっきりと甘さと感じるわけではないんですが。 果実味につられるように酸味が続きます。 やや穏やかな酸味ですね。
おっと、なにか赤ワインのタンニンのような渋味を感じませんか。この渋味が徐々にスパイシーさに変わっていってますね。とにかく、いろいろな味わいの成分が強くて 弾けそうです。炭酸ガスのせいかもしれませんけどね。
次に、ミネラルをみてみましょう。 このミネラルの風味は、ワインにとって大事な味わいです。料理の相性にも関わってきます。
舌先にワインを留めてみてください。 固さを思わせるような苦味、「石灰(せっかい)」を感じますね。 あくまで、表現ですからね。 石灰のように固さを感じる苦味です。もし、分かりづらかったら、次の白ワインや、ロゼワインと飲み比べてみてください。より、分かるとおもいますので。
ただ、分からなくても、気にしないで下さいね。 比べて味わっていくうちに、つかめていけるはずですから。
余韻(よいん)を見てみましょう。飲み込んで下さい。口の中や、鼻に抜けるワインの余韻を数えてみて下さい。あ、口は閉じたままで! 1,2.....10,11,12 ! 長いですね。これまでで最長です! 私は12秒に感じられましたけど、皆さんも大体10秒程度感じられるはずです。
ここでも、ヴィンテージシャンパーニュらしさをみせつけてくれますね。 というのも、もう一度飲み込んでみてください。
余韻の流れなんですが、ここちよい苦味のあとに、もう一度果実の風味がはっきりと戻ってきます。
もう少し何か感じませんか。 温度が上がってきて、果実味の他に、旨味(うまみ)が現れています。 ちょうど、樽の風味と果実味が溶け合ったような感じでしょうか。
そうそう、ここで、空になったグラスを嗅(か)いで見てください。 先ほど話した酵母臭、イーストのような香りがよく分かるのではないでしょうか。 こごもった、表現しづらい香りですけど。あとは、ヨーグルトのような香りもありますね。
もう一度、飲んでみましょう。この酵母臭の風味の味わい、シャンパーニュ特有の旨み成分とでもいいましょうか、この風味が果実味をはじめとする全体の味わいをつないでいる感じがしませんか。
熟成を経たシャンパーニュならではの味わいですね。
これだけのいろいろな味わいがあると、合わない料理を探すのが大変です。 欲をいうなら、伊勢エビやアワビなど、高級食材の独特の旨味にあわすと、その旨味に膨らみがでてきますので、ぜひお試しを。
ヴィンテージシャンパーニュならではの 贅沢(ぜいたく)な時間をどうぞ。
| ヴィニョーブル・ラトゥース・キュヴェ・スペシャル L 2007
つづいては、白ワインです。
まずは、色を見てみましょう。ソムリエ同士での言葉なら、輝きのある黄金色とでもいいましょうか。色鮮やかですね。 先ほどのベルナール・ジラルダン 2002 とは、色合いがちがいますね。ちょうど夏の陽射しを思わせる色です。
香りを採ってみましょう。 こちらも非常に香りが強いです。 グラスを回す前から香っています。 フルーツの香りなんですが、ワインの色合いににて、色の濃いフルーツのイメージですね。アプリコット、パイナップル、黄桃、マンゴー などが感じられます。あとは、カリンのキャンディー、花の蜜(みつ)のような甘い香りも。
では、グラスを回してください。 香りが変わりますね。 ハーブ、そうですね、ペパーミントでしょうか。 スーッとした香りがでてきます。 最初のフルーツの香りだけですと、ただ濃い味のワインかと思ってしまうのですが、 この点が加わると、爽(さわ)やかさもあるのかなと感じられます。
2~3分位すると、温度も上がり、樽由来のバニラの香りや、メロンのような香りが出てきてます。 この香り、なんとも、甘美(かんび)ですね。 引き込まれるほどでないにしても、しばらく嗅いでいたいですね。
では、口に含んでください。 予想どおり、ややふくよかな口当たりですね。 酸味は、適度な酸です。うまくバランスがとれています。 意識しないと酸味を強く感じないと思います。このあたりがバランスの良い証拠です。 一瞬果実味の甘さの後にコクのある果実味と樽の風味の甘旨さが広がります。 その甘旨さを優しくもしっかりとした苦味が下にあり、支えている。 そんな感じでしょうか。
続いて、このワインの特徴をミネラルでしっかりと見てみましょう。 舌先にワインをためてみてください。出来るだけ長くです。 どうですか、どんどん 唾液(だえき)が出てくる感じありませんか。 「しょっぱ酸っぱい」なんて表現がいいかもしれません。 そう、ミネラルとしての塩味をしっかりと持っているワインなんです。
この味わいがあると、塩やレモンをかけて食べる料理との相性もバッチリですし、何よりこの時期の食欲増進にもってこいの味わいです。 適度な酸と塩気は、自然と食欲をそそるだけでなく、料理に加わると人間の味覚上、味に深みが増して美味しいと感じるようになっているらしいんです。
そういう意味でもこのワインは一石二鳥(いっせきにちょう)ですね。 ビールのお腹が膨(ふく)れるイメージとは反対です。
さて、では、飲み込んだ後を見てみましょう。 余韻は、1,2...7,8。と中程度の余韻ですね。 ただ 余韻の風味はややスパイシーで、ノド越しが熱く感じられますね。 樽の影響かもしれません。
このワインもいろいろな味わいを感じられました。 ブドウ品種 ソーヴィニヨンブランからくる爽やかな酸と塩味セミヨンからくる豊かなコク それに樽の風味。
ボルドーの白ワインならではの味のハーモニー感じていただけましたでしょうか。
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シャトー・ラモット ロゼ 2008
こんどのワインはロゼワインです。 こちらも色鮮やかです。 ほんのりとオレンジ色がかっていますね。 淡い赤みに ほんのりピンク、そしてオレンジがあわさった感じですね。 このオレンジの色合いが、ロゼでは熟成を現す色合いになるわけです。
では、香りを嗅いでみてください。 まずは、グラスを回さずにです。 ほんのり、甘さを感じさせる香りがあります。 そうですね、グミとかキャンディでしょうか。 ソムリエの表現ですと「砂糖漬けの~、シロップ漬けの~」 なんていうのですが。
少し意識を違うところに持っていってください。 先ほどまでの香りが強いワインとは違いますから、 嗅ぎ分けていくにはもってこいのワインです。
果実の香りがありますか。 何とはいいづらいですが、果実でもかすかに苦味がありそうな青くささも感じられます。 まぁ、赤い果実の皮の部分とでもしときましょうか。 もうすこし、具体的に、かすかな苦味部分をクローズアップすれば、 トマトの皮なんてどうでしょう。 共感いただけると嬉しいですね。
では、グラスを回してみてください。 やはり、香りに爽やかさが加わりますね。 ハーブというより、梅や 赤シソ、赤ピーマンなどの香りに感じます。
肝心の味わいです。 口に含んでみてください。 しなやかな口当たりですね。 みずみずしさを感じます。 この表現、あまり、ワインの表現では使わないのですが、
水っぽいと表現されると、品質的に悪いイメージになってしまうためです。
しなやかな口当たりには、塩味、酸味を感じます。 強すぎず、横に広がりを持たせる感じです。 次に透明感のある果実味、優しい甘味を口の中心部で感じ、 ほのかな苦味、渋味に続いていきます。
ちょうどみずみずしさから繋(つな)がる流れのようです。 飲みやすいですね。 余韻を意識してもう一度飲んで見ましょう。
1,2...6,7 長くはないですが、果実味とかすかな渋味を感じ、口の中に塩味が残ります。 イヤな塩味ではないですね。
ここで、空のグラスを嗅いでみてください。 残り香は、どうですか。トマトのヘタの部分のような香り、 野菜のような香りが嗅ぎ取れると思います。
さあ、このワインでも、その塩味、ミネラル分を意識してみましょう。 もう一度 飲んでみてください。口先に留めて・・・。 やっぱり、唾液が出てきますね。こちらは、酸っぱしょっぱいでしょうか このミネラル感がこのロゼワインの味の決め手ですね。 この味わいがあるからこそ、風味の強い岩牡蠣(いわがき)にもあうんですね。
辛口ロゼワインの味わいの難点して、バランスがあげられます。
このワインも、もう少し果皮(かひ)の漬け込みを長くして、渋味とコクを与えたら流れるような味わい、バランスの良い風味にはならなかったと思います。
さて、前の2つにくらべて、余韻が余り長くありませんでした。 意味するところは、熟成を要するタイプでは無いんです。 ですから、寝かせる必要なんてありません。 早めに飲んで楽しみましょう。
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