2017年11月度 頒布会ワイン・レポート 3/3「スィニアテュール2010年」&「ジョンカード紅白ラベル1991年」
11月度 頒布会ワイン・レポート 3/3
「スィニアテュール・ドュ・クロ・サン・ヴァンサン2010年」
「シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1991年」
MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、
テイスティングで紹介していきます。
今週は
極上 赤ワインセットの中から、、
「スィニアテュール・ドュ・クロ・サン・ヴァンサン2010年」、
特選 ワインセットの中から、
「シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1991年」
のテイスティングレポートをお届けいたします。
スィニアテュール・ドュ・クロ・サン・ヴァンサン 2010年
AOCサンテミリオン・グラン・クリュ
メルロー:100%
縁に紫色を強く残す、赤みを帯びたルビー色。
中心の色は赤黒く、向こう側がほとんど見えません。
カシス、ラズベリー。
可愛らしい実をつけたベリー系の果実味から、グラスを回していくとスパイスの香りが支配的になっていきます。 スパイスと言っても胡椒のような尖った香りではなく八角や甘草といった漢方薬に近い柔らかい香り、樽香からくる木の香りもとれます。
さらに時間を置くと松の葉や杉など針葉樹林の清々しい香り、鉛筆の炭素の香り、
チョコミントのような爽快感を伴った甘い香りが出てきます。
なめらかでしっとりとした口当たりなのに、口に含むとどっしりとした重量感が感じられます。
メルローの柔らかい果実味の中に、しっかりとタンニンが溶け込んでいます。
酸味は優しく、全体にふくよかな印象を与えています。
鉄や鉛といった鉱物を感じさせるニュアンスが強く、独特のミネラル感が口の中に広がっていきます。この辺りの鉄分の要素が、サンテミリオンの地質からくる特徴といえます。
料理に合わせるのであればやはり肉類、牛肉や仔羊肉です。
鉄を感じさせるミネラルから、すこし血が滴るくらいのレアに焼き上げた肉とは最高の相性です。様々なスパイスをたっぷりとまぶしたロースト・ビーフもいいと思います。
「シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1991年」
ボルドーAOC
メルロー:50% カベルネソーヴィニョン:50%
シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1991年をより美味しくお飲み頂くために
できれば1週間程、冷蔵庫に立てておいて頂きたいです。
召し上がる時には抜栓して最低30分、できれば1~2時間以上後に飲んでみてください。
従来の紅白ラベルとは比べ物にならない程、美味しいです。
お肉などと召し上がって頂ければさすがの年輪を感じます。
抜栓して30分以内に飲むと薬っぽい味を感じます。
決して薬を入れているわけではなく、古いワインの場合こうした事があります。
私もステーキを焼いて2日に渡って飲みましたが、抜栓後1時間以上後に飲んだ時に、
「さすがジョンカード!」と感じました。
ブルゴーニュの1本5,000円するような物に比べて、軽く深く、洗練された味わいを感じました。
ブーケとフランスでは言いますが、味が開くのに美味しいワイン程、時間がかかります。
道上
色合いは黒、赤(というより紅)、 そして茶のグラデーションとグラスの縁の色合いの透明感の美しさ。このワインは赤はもちろん、中心の黒味の部分から 徐々にグラデーション色の変化が見て取れると思います。
まずグラスを回さずに香りを嗅ぐと、独特の香りがしますね。
少しむぁっと蒸れたような香り。そこには、爽やかな、と言った果実の香りはありません。
果実というより、花、それもドライフラワーを感じます。
そこにスパイスがあわさったかのような感じです。
スパイスもコショウなどではなく、東洋的な風味のつよい、クローブ(丁子)でしょうか。
軽くグラスを回すと香りが変化します。
少し爽やかさが加わったフレーバーティーが感じられます。
時折、和食タレ・だしを思わせる香りもあり、回ったワインが静かになると、 今度は土の香りが感じられます。 裏庭の日が当たっていない黒っぽい深深とした土の香りです。
気が付くと香りの中心は徐々にスパイスの香りが強くなっています。
余韻は短めです。
渋味が口先、歯茎に残っていますがそれとは違うワインの味わい・風味・コクの部分です。
鼻に抜けるワインの香りだったり、喉ごしから戻るような味わいとでも言いましょうか、その部分が短く感じられます。
時間が経つと旨みがでてきます。
イメージ的には、かすかに味わいを感じる程度に薄めた醤油、かすかなかつお節の風味のような感じです。この旨みが熟成ワインの最大の魅力です。まるで、フレーバーティのような果実の紅茶を飲んでいる感覚です。
果実味に酸味が溶け込み、渋味でワインとしてのコク・強さが現れている中に旨みがでてきています。旨みだけでも様々な成分の融合であるのに、この味わいの重なり。
熟成ワインだけが出せる風味なのです。
舌先に意識を集中させると鉄分を感じさせるような風味も感じます。
この風味があると赤身の肉にあいます。
この鉄分としっかりした渋味を考えると、合わせる料理はやはり牛肉の脂身が少ないものをシンプルに焼き上げたものが良いかと思います。 素材の味わい、香りといったものに合わせていくことができるのは、まさにワインならでは。
羊肉はもちろん、白身の野鳥のジビエなどの風味とあわせればさらにワインの熟成の風味が合います。 せっかくの熟成ワイン、牛肉以外も合わせてみたいですね。 羊肉のグリル・ローストや思い切ってうずらなどの野鳥や鹿肉など最高でしょうね。
赤身の部分にはその鉄分が合わさり、肉の風味・野性味を強調し、肉を食べていることを実感します。 また、もう少し手軽なローストビーフに肉汁を焦がしてかけて焼き上げたものなど香ばしい風味や肉の甘みのような旨みにワインの旨みが良く合います。
こういった肉料理の旨み・野性味には、熟成した赤ワインの出番です。
他のお酒では味わえない相性を感じさせてくれます。
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頒布会
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