外交官 執筆を終わるに当たって
全日本柔道連盟 特別顧問
東大柔道部OB
丸の内柔道倶楽部
執筆を終わるに当たって
2013年に書き始めたこのメルマガをようやく閉じることになった。
読者の皆様には長い間にわたり私の駄文にお付き合いいただき、
心から御礼を申し上げます。
外交官生活を振り返って思い出すことや感じたことを書いてみたが、冗長だったり、そんなことわかっているよと思われた個所もあったかもしれない。説教調に「外国をもっと見よう」という趣旨をくどくど書き過ぎたかも知れない。その点はどうかご容赦をお願いしたい。
それには、次のような背景があることを理解していただければと思う。
外交官の仕事は面白く、お陰で楽しい有意義な人生を送ることができたと感じている。それは、海外に行って目が啓けた、視野が広がったと思うからだ。海外に行ったことによって、これまで気が付かなかった日本の良いところ、悪いところにも気付いたりした。日本にずっといて同じ思考形態、生活パターンで生きていたら気が付かないことが多かっただろう。海外を見たり知ることの重要性を読者の皆様にお伝えしたいという気持ちが強かったからである。
北朝鮮は論外だとしても、最近の中国や韓国を見ていると、政府や国民が自国の独善性に気付かないかのように振舞っている。国民が国際感覚を持っていれば、政府の独善を正すことも可能になるが、政府が独裁的な政権ではそれも許されない。国の制度が民主的であり、制度や精神が開放的で多様性を受けいることは重要なことである。
日本はかつて国全体が独善的な方向に引っ張られてしまい、客観的国際情勢が見えなくなったかのように道を誤ってしまった。アメリカは民主制度は確立しているものの、トランプ政権のもとで客観的な国際情勢とかけ離れた独善性に陥りかけているように見える。国民の賢明な国際情勢把握と国際協調精神が不可欠である。
我が国も広い国際的視野に立つと同時に、日本が軍縮や核不拡散、開発援助や文化・技術などで果たしている世界への大きな貢献に誇りをもって、一層の国際協調の道を歩むことを国の目標にすべきで、そのためにも国民の海外への関わりの重要性を強調してもしすぎることはないと考えるものである。
花 (Elantis, Snowdrops)(2005.2.26.)
【小川 郷太郎】 |
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