外交官 第22話 内向きで衰退する日本 (その1) 「井の中の蛙、大海を知らず」
全日本柔道連盟 特別顧問
東大柔道部OB
丸の内柔道倶楽部
第22話 内向きで衰退する日本 (その1)
今まで話したように、日本人は世界に誇りうる素晴らしい資質をたくさん持っているというのが私の確信である。ただ、個人の場合に誰にでも良いところと悪いところがあるのと同様に、日本国民を全体としてみたとき、問題があるのも事実である。
今日の日本の最大の問題は、内向きであるためグローバル化に乗り遅れ、国の力が衰退してきていることだと思う。そうなった原因にはさまざまな要素があるが、簡単に言うと、三つの日本的現象がある。
つまり、①島国のため「井の中の蛙」になっていること、②個性や自立心に欠け、受身で集団行動主義の傾向が強いこと、③慎重すぎて防御姿勢になり、変化への歩みがカタツムリ並みであることである。
これらについて少し具体的に見てみよう。
「井の中の蛙、大海を知らず」
日本が島国であるのは、覆すことのできない地政学的現実である。島国であることはいい面もある。四方を海で囲まれていたことが幸いして、我が国はこれまで外国から侵略されたことはなかった。13世紀後半に蒙古軍の来襲があったが、「神風」のお蔭で上陸できなかったとも言われている。
日本の歴史上「戦国時代」はあったが、民族的にも均質性が高いこともあって、全体として融和的で安定した社会を築くことができた。日本人同士では物の考え方や行動様式が似ていることが多く、言葉も日本語がどこでも通じるので、他の国に見られるような民族間の対立や社会の軋轢は少なかった。
世界を見渡すと、例えばアメリカ、ロシア、中国、旧ユーゴ諸国、ミャンマーなど多くの国は多民族国家だ。各民族の文化の違いなどから国内社会で摩擦が絶えないが、幸い日本にはこの種の社会の軋轢は少ない。
第二次大戦後は平和が続き経済が発展し社会も安定してきたので、生活は便利になり安心して暮らすことができるようになった。周辺国からの身に迫る危険もなく、海外から難民が押し寄せるようなこともなかったし、日本国民の主たる関心がおのずと自分の日常生活に向くようになって来た。発展して安定した生活に満足しているので、つい内向きになる習性が出来てしまう。それは、ヨーロッパ大陸と著しく異なる。
例えば、歴史的に「民族大移動」が起こったヨーロッパの中心に位置するフランス人は、日常的に言語や文化の違う民族と共存するような永年の経験があったため、異質なものへの理解や寛容さ、多様な思考方法とか、国際関係におけるしたたかさなどを身に付けて、それらが何世紀をも経てフランス国民のDNAに組み込まれるようになったということもできる。
L'Abbbaye de St. Florent sur Loire 夕景 (2010.8.29.)
長い歴史上の大部分の時期を通じて外敵の来襲もなく、安全で安定した同質的な社会を形成し、似たような考え方や行動様式をする日本人同士で生活することができたのはとてもラッキーだったと言えよう。
しかし、その結果、外国のことに関心や知識が薄くなりがちである。アフリカの貧しさや食糧難の実態を深く受け止めない。民族や宗教の違いからくるアフリカ、中東、南ヨーロッパにおける紛争やテロ活動について、ニュースで聞くことはあっても遠い国の出来事のように思えて真剣な関心をもたない。
それだけではない。世界の速い動きに気付かず、グローバル化現象などが日本社会にも膨大な影響を与えつつあることやそれに取り残されることへのひっ迫感にも欠けることになる。
ちょっと具体的な例に触れてみよう。
「ガラパゴス化」という言葉がある。南米エクアドルの西方約1000キロに浮かぶガラパゴス諸島は動植物の固有種が棲息することで知られている。大陸から隔離されていることから独自の進化を遂げた珍しい固有種が生きている。
日本に「ガラ携」と呼ばれる携帯電話がある。日本国内で発売され使用される豊富な機能を持った立派な携帯電話ではある。技術的に優秀で目覚ましい進化を遂げたが海外では使えないので、「ガラパゴス化」された携帯電話となってしまい、日本人自身がそう呼ぶようになった。
フィンランドのノキア社や韓国のサムソン社などは、世界中で使える携帯電話を作って世界市場で稼いでいる。「ガラ携」は日本固有の希少品種になってしまった。
日本はコメ作り農家を保護するために何十年とコメの輸入を禁止または極度に制限してきた。コメを含めた農産品を手厚く保護してきたので、主要な貿易相手国との自由貿易協定を交渉する際、日本が得意とする工業製品について相手国から関税引き下げの譲歩を獲得できない。
やっといくつかの国とは妥協をしながら協定を結ぶようになってきたが、この間、韓国は日本よりはるかに早く農業政策を転換して、米やEUを含めた多数の国と自由貿易協定を結ぶことに成功し、自動車や電子製品の関税引き下げを確保して、これら大市場で自国の工業製品を日本よりずっと安い価格で売ることができるようになった。
日本は農業保護を重視するあまり世界の流れを考慮せず、その結果日本農業の生産性は他国に比し非常に低いままで農業の衰退を招き、さらには、工業分野でも輸出先国からの関税譲許を得られず韓国に負けている。国全体の利益を失っていると言える。日本国内では今でもTPPに強く反対している人たちがいる。
もう一つの例を見てみよう。日本の大学の秋入学問題である。日本の新学期は4月に始まるが、世界の大学の入学・新学期は秋が主流であり標準でもある。2011年に当時の東大の浜田総長が、優秀な学生や研究者を呼び込むためにも東大に秋入学制を導入する構想を発表した。
これが当時新聞の1面トップを飾った「ニュース」となったことを覚えているが、私は、こんなことがまだ実施もされずにいて、大ニュースになったことに驚いた。随分世界の流れから外れ、しかも今頃話題になるとはと思ったのだが、その後この制度も実現しないまま先送りになっている。島国ならではの現象である。
日本はまだ井戸の中に籠(こも)っていて、外の大海の動きを知らないかのようだ。
【小川 郷太郎】 現在 |
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■ 長い歴史上の大部分の時・・・
長い歴史上の大部分の時期を通じて外敵の来襲もなく、安全で安定した同質的な社会を形成し、似たような考え方や行動様式をする日本人同士で生活することができたのはとてもラッキーだったと言えよう。■ もう一つの例を見てみよ・・・
もう一つの例を見てみよう。日本の大学の秋入学問題である。日本の新学期は4月に始まるが、世界の大学の入学・新学期は秋が主流であり標準でもある。2011年に当時の東大の浜田総長が、優秀な学生や研究者を呼び込むためにも東大に秋入学制を導入する構想を発表した。■ 日本はまだ井戸の中に・・・
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