2014/07/15
第13話 カンボジアでの発見
(その3) ODAは減らすべきなのか
よくメディアや政治家が「ODAには無駄が多い」「だからODAを減らすべきだ」と言う。
確かに、沢山ある途上国支援プロジェクトの中でうまくいかない例はある。設計ミスもあるかもしれないが、予想外の天候や地形が障害要因となることもある。相手国と合意で進めた計画が、相手国側の不作為でうまくいかないこともある。途中で問題が出ても対応策がとられて所期の成果を収めた例も少なくない。
総じて大多数のプロジェクトは成功して相手国から高く評価されているのが現実で、私はカンボジアでそれを体験してきた。
成功例は殆ど報道せず、「失敗」を取り上げるのがメディアの習癖なので、実状とは違うイメージが作られているのだ。
【日本のNGOの孤児施設、子供たちの顔は明るい】
日本のように制度の整った国でさえ、例えば年金記録問題のようにミスや不備がある。社会保障に無駄があるからといっても、年金予算を減らせという議論はない。年金は必要だからだ。ODAも同じだ。
途上国支援は、援助を受ける国の経済、社会、政治の発展に確実に役立っているし、途上国が発展すれば、日本も他の国もその国に貿易や投資を拡大することができ、それが一層その国や周辺地域の発展に貢献する。
日本が過去何十年もアジア諸国に援助を提供した結果、東南アジアの経済が発展した。日本の企業がその国との貿易や投資を通じて経済的にも大きな利益を得ている。援助は他国だけのためではない。日本の国益にもなるのだ。
日本が援助を減らし続けている間に、中国が援助を増やしてきた結果、中国側に顔を向ける途上国が出てきている。かつて高い評価や感謝の言葉を受けてきた日本の地位はだんだん下がってきている。カンボジアもその例である。それでいいのだろうか。
政治家はODA 予算を減らして、援助は戦略的に使えなどと言う。私から見れば、援助を削減していくことこそ、戦略の誤りだ。
ODAについてはこれらすべてのことを全体的に判断して考えることが必要だと思う。
私は昔からODAの拡充を主張し続けている。
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【小川 郷太郎】 現在 |