名人のこだわり
「舌の上の塩味、塩味の基準」
料理に使われる塩の全体量を、味覚で感じ取れる人はいないでしょう。
人は、舌の上に乗った部分だけで塩の濃度を感じるのです。
スープの場合、液体は全体がほぼ均一の塩分濃度となりますので、
舌に接する部分をちょうど良い塩分にしようとすれば
全体量として多くの塩が必要となってしまいます。
スープの素やルーを作わず、一から作ると分かりますが
ラーメンの汁やカレーなどでも、思いの他沢山の塩が全体量として使われているのです。
塩分の全体量が多くなりますと、
食事の後から身体が重くなったりと、味覚で分からなくとも良くない事があります。
FONDでは「舌の上に乗る塩分濃度」を意識して調整する事で、
「十分な塩分」と感じて頂きつつ、全体量は極力減らせるようにはしています。
姫竹と蕨 四万十川の川海老 岐阜の稚鮎
また、塩味、甘味は
普段の感覚として慣れている濃さも大事な所です。
日本の方は親しんでいる漬物やお味噌汁といった、
実際には塩分量が多い料理の塩味は許せても、
塩分量が多くなくともチーズの塩味、となると途端に「しょっぱい」という事になってしまいます。
反対にフランス人の好きな濃さのスープを日本人が飲むと、
「しょっぱい」と感じるでしょう。
これは甘味でも同様のようで、それぞれの基準と違ってくると
合わないと感じてしまうようです。
FONDでは基本的に人間の体液の塩分濃度、
「生理食塩水」を意識して全体の塩味のバランスを整えています。
それぞれ人により好みの違いがあっても、
人間にとってそこが塩味の一つの基準だろうと考えているからです。