名人のこだわり
「器具について」
鍋の良し悪しは、火にかけた時にわかりますね。
じわじわと泡が出てくる物が良いです。
ミジョテ(mijoter)という
弱火でゆっくり長時間、というのがフランス料理の基本です。
じわ~っと熱が入ってくれるのがいい。
銅鍋以外でもかなり良くできた物も出てきましたが、
銅鍋が基本ですね。
包丁は頭で思ったように切れる、という事が大事です。
切り方というのも大変重要なものです。
一番はっきりしているのは、肉でしょうか。
肉を切る時はフグ引きを使って切っているのですが、
普通の包丁を使うと肉汁が出てしまいます。
それで大分味が変わってきてしまうのです。
野菜で言えば、キュウリなどは分かりやすいと思うのですが
綺麗に切ると青臭くなりません。
魚も差が出ます。かなり違いますね。
包丁も、炭素鋼の包丁で切ると匂いがついてしまいます。
本マグロの赤身や、タコには特に
匂いが付いてしまうんです。
銀三の包丁が良いので
それを刀鍛冶の方に作っていただいて使っています。
鍛造の様子です。
簡単にやっているように見えますが、
「難しい事でも簡単に見せるようになってこそ、熟練の技」
を地で行っておられます。
1mm単位での仕事をされています。
今、包丁は
実際に使っている物で20本程です。
砥石は天然の物を使っています。
一時、「天然ものの砥石は良くない」という誤解が
広まってしまった事もありましたが、
一部良くない商品が出回ったことがあった、というだけですね。
次回は「日本での「フランス料理」について」をお送りします。