MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。
シャトー・ペイブラン 1998年
外観
ボルドー、貴腐ワイン。凝縮したブドウエキスの色、高級感が漂っています。
中心は濃い黄金色、全体にきらきらと強い輝きをもっています。
中心からエッジにかけて徐々に色合いが薄らいでいくグラデーションを形成しています。
しかしエッジ部分には、まだしっかりとした透明な部分は形成されておらず、熟成がまだまだ進んでいる事が予想されます。
香り
抜栓直後は、セメダインや薬品のような揮発性の高い、ツンと鼻につく香りがあります。
しばらく時間を置くと、それらの香りが落ち着いてきてレモンや青梅を砂糖で漬け込んだような甘い、どこか酸味を感じさせる香りが加わります。
そこから更に時間を置いて、グラスの中でワインの温度が上がってくるともっと華やかで、甘い香りが強く出てきます。カリンやハチミツ、メープルシロップといったところでしょうか。
時間による香りの変化が顕著に表れていました。
味わい
とろりとした口当たり。冷やして飲んでいるのに冷たさをあまり感じない濃くなめらかな質感。
アルコールと糖度の高さから濃密で厚みのあるボリューム。
花や果実、ハチミツなどの自然のエキスが詰まった蜜の甘さ。天然の液体スィーツ。
砂糖を溶かし込んだような単純な甘さではなく、果実味由来のキレのある酸味や、心地の良いかすかな苦味が溶け合って、甘味をしっかりと包み込んでいるから、なんとも言えない高貴なバランスが保たれているのです。
余韻に強くのこる甘さとコク。飲み込んだ後も長く、そして強く続きます・・・8秒。
その甘美な密の香りは喉から鼻腔へと心地よく抜けていきます。
濃厚なホワイトチョコレート、塩味を利かせたチョコレートとの組合せが、魅惑的な相乗効果を期待させます。
この貴腐ワイン、中世ヨーロッパでは高級な薬として貴族達の間で飲まれていたとか・・・
そういえばどこか、薬っぽい香りが最初に見られました。
時空を超えて当時の人々との共通項を見出した時、ワインの不思議を感じずにはいられません。