MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。
ボルドー5大コートコート・ド・カスティヨンのワインです。
シャトー・ピュイ・ランドリー 2001年
詳しいコメントは動画にて
【外観】
黒味を帯びたガーネット透明感もあまりありません。
黒味がかったガーネットややグラデーションの幅が大きい。透明感とエッジの部分に赤・朱色・茶色
【香り】
八角、丁子などの甘・苦いスパイスの強い香り、ラズベリーのリキュール
スミレのドライフラワー、熟成のブーケ
【味わい】
なめらかな口当たり、酸味が穏やかです。
果実味、コク、渋味がバランスよい。質感のなめらかさのなかで果実味の甘さ旨さを感じます。
【自然に寄り添う】
コメント(動画)でも述べましたが、きれいな熟成感。メルロー種によるものです。
実は、メルローというブドウは、ボルドーの中でも、比較的新しいブドウ品種。
歴史的記録では、18世紀後半には、サンテミリオンなどの内陸部でメルロー種が使われていたようです。
その後、現在では、この地を含め、ボルドー全体でも、メルローの栽培比率が多くなっています。(高級ワインのメドック地区周辺を除きます。)
ボディもコクはあるものの、柔らかなタイプに仕上がるので今回のような、バランスのいい熟成になったと思います。
柔らかいといっても、それは、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べてのこと。カベルネ・ソーヴィニヨンが主体ですと、10年程度でこのなめらかさ、に熟成するのは難しい。もっと時間がかかります。
そうそう、そのメルローで、世界をあっといわせたワインがお隣のサンテミリオンやポムロールから続出しました。
ポムロールのシャトー・ペトリュス、シャトー・ル・パン、 サンテミリオンのシャトー・ヴァランドロー。
今では、5桁(けた)、6桁の高額ワインです。このためか、メルローのブームが起き、世界でメルロー100%のワインが増えていきました。
とはいえ、この地は、その気候や土壌からメルローとともに歩みを進めてきた。シャトー・ピュイ・ランドリーの造り手は、畑の土や環境への敬意を払い、自然なワインを目指しているといいます。
造りこんだメルローではなく、自然体のメルローの熟成を感じたのは、偶然ではないと思います。
【戦場のブドウ畑】
そんな、土地にも、血なまぐさい歴史が。矢が降り注ぐ、砲弾が炸裂する。 馬の下敷きになる者、手斧を振りかざす者、怒号と悲鳴、爆音と金属のぶつかり合う音が辺り一面に響き渡る。 甲冑をつけた兵士達の壮烈な戦い。
イギリスとフランスとで行なわれた100年戦争<1337-1453>。まさに、戦場となった地。
「カスティヨン=ラ=バタイユ(Castillon-la-Bataille)」【バタイユ(仏語で 戦いの意)】
その地を、中心にしたワイン産地、コート・ド・カスティヨン。
イギリス人には、イングランド軍の指揮官であるジョン・タルボットが敗れた地といえばわかるようですが。
我々、日本人には今ひとつ。<当時日本は、室町時代。銀閣寺で有名な足利義政将軍の時代です。>
ワイン好きにはボルドー銘壌地 サンテミリオンの隣といった方が判りやすいです。
そんな歴史的な地域(?)は、ワインの歴史にも、登場。 ボルドーの最も古いぶどう畑の一つとしてその名を残しています。
そう、カスティヨンのブドウ畑は歴史を見てきた。 近現代でも、フランスワインにとって、イギリスは欠かせません。
100年戦争当時 イギリス領だったボルドー。イギリスとフランスの狭間で、揺れ動いた激動の地。
ワインで暮らす人々は、ワインを、ブドウ畑を守るため、必至に生き抜いた。
その人たちの、思いが、土地とブドウに受け継がれて、今の目の前のワインがある。
そんなことに思いを巡らせながら、ワインを飲んでみる・・・。深いです!
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