MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。
今週はその中から、
シャトー・プラン・ベルヴュー2000年
シャトー・フラン・ラ・コンテス2000年
シャトー・ラ・ジョンカード 黒ラベルプレミア1991年
のテイスティングレポートをお届けいたします。
今回は、赤ワイン3種、コート・ド・フラン地区の2000年を2本と、 コート・ド・ブールの1991年を1本、いずれも熟成)したもの、比べてみたいと思います。
A シャトー・プラン・ベルヴュー2000年
B シャトー・フラン・ラ・コンテス2000年
C シャトー・ラ・ジョンカード 黒ラベル プレミア 1991年まずは、いずれも、届いてから、約1週間立てておきました。
こうすることで、熟成でできた澱【オリ:ワインの色素などの細かな成分が集まって沈殿(したもの】を、底に沈めることで、雑味の少ない味わいで楽しめます。
美味しく飲むためにも、ほんの少しの我慢が必要です。あと、グラスに注ぐときも、ボトルの口にグラスを着けて、なるだけ静かに注ぐほうがいいです。
さあ、色合いは、どうですか。 3種とも似ていますね。どれも、赤色、紅)、ガーネット色に黒が混ざったような感じです。中心はまだ黒味がかっています。少しグラスを傾けてみてください。それぞれのグラデーションに違いがでています。
A シャトー・プラン・ベルヴューが、3つの中で濃い部分の割合が多いです。エッジ(グラスの縁 ワインの液体の外側)部分が茶色、レンガ色に、ほのかにオレンジ色が見えます。この色合いは、そう、熟成を示しています。
B シャトー・フラン・ラ・コンテス は、全体的に少し透明感がありますね。中心の黒味部分よりその周りの紅い部分が、多く見えるからですね。エッジは、やはり、透明感があります。
その透明感が強いのが、
C シャトー・ラ・ジョンカード 黒ラベル プレミア。エッジの一番外側は、透き通っていますね。そして、その内側に琥珀色。エッジだけで判断するなら、一番熟成が進んでいるといえます。
では、香りをとってみましょう。それぞれ、まずは、グラスを回さずにです。
A プラン・ベルヴューは、少しツンとした香りです。
醤油を薄めた感じとでもいいましょうか。あとは、何か、エキスのような香りの強さがあります。B フラン・ラ・コンテスは香木のような香りがあります。そこに、クローブ(丁子)などのスパイスがあわさった感じです。香りがあるのですが、やや弱い感じですね。
C ジョンカードはスパイスとハーブをあわせたような香り。ただ、あわせたのではなく、混ざり合っています。刺激する香りと華やかな香りが一体となっている、ドライフラワーのバラの香りなんて、表現が当てはまるかもしれません。
さぁ、グラスを回して、香りを発たせてみましょう。
A プラン・ベルヴュー 出汁の香りがでてきませんか。
かつおぶし の。不思議ですね、この香り。あとは、ドライフルーツ、干しプラムのような香りも。最後になって、スパイス、ブラックペッパーの香りが出てきました。
B フラン・ラ・コンテス は、単純なフルーツの香りではないですね。
熟れた香りです。チェリーの熟して皮がふやけているような、匂い発つ感じです。傷む直前のような。果実の香りもありますが、少し野菜や枯れ葉のような香りにも感じませんか。
C ジョンカードは いい香りです。あくまで個人的な感想ですけど。ほんの一瞬、嗅いだときのほのかなチョコレートやコーヒーの香り。樽の風味が熟成したワインと見事にあった時の香りですね。
すぐに、クローブや甘草漢方薬でも使われるスパイス)の香りへと、あとは、少し苦味を感じさせる香りがありますね。
これが、実は 澱からくる香りです。どれがそうかは、飲み進むにつれてこの香りと味わいが強くなっていきますので、自然と解かるようになります。
順番に味わっていきましょう。
まずは、A プラン・ベルヴュー。
酸味を口の両端というより、口の上部分で感じたんですが。そう、口当たりは、しなやかです。果実味の上下に酸味がくっついたような。
果実味自体は、しっかりとエキス分を感じます。そこから渋味へとつながっていってますね。タンニン(渋味成分)もしっかりとあります。
この風味であれば、ミディアムボディですね。 さあ、口の中で空気と攪拌してみましょう。
口をすぼめて、ワインを飲まずに、空気を1、2回 音をたてて、吸い込んでみてください。このとき鼻から息をしないでくださいね。むせて、吐き出しますから。
どうですか、果実味とコクを強く感じますね。あと、余韻を見てみましょう。1.2.3....8.9 中程度ですね。
Bの フラン・ラ・コンテスです。はっきりと、酸味を感じますね。なめらかなんですが、酸味が目立ちます。
その酸味の中に、果実味と細かなタンニンがあります。酸があるから味わいの広がりを感じます。こちらはライトボディですね。
では、空気と合わせて攪拌してみましょう。タンニンとコクをが、浮き上がりますね。
うーん、あまり果実味を感じないところが不思議でもありますが。
ここで、一旦、A の プラン・ベルヴューを飲んで見ましょう。タンニンの荒さと、ボディの違いが、判りますね。同じ地区、同じ年代でありながら、はっきりと、Aのプラン・ベルヴューの方が強い。
これは、そう、ブドウ品種の違いが大きいと思います。
余韻は、1.2....6 やや短めです。風味も、苦味から酸味が目立ちます。このことからも、早めに飲んでしまったほうがいいですね。これ以上熟成して、美味しくなるとは思いませんので。
Cのジョンカードです。
香りからも、熟成ワインとしての味わいが期待できます。
うん、非常になめらかな口当たりです。先ほどBのフラン・ラ・コンテスをなめらかと表現しましたが、こちらこそが、真のなめらかさです。
酸味も感じるのですが、果実味と渋味に溶け込んでいてまさに、一体と化しています。 では、コクがないかというと、そうではないんですね。
>空気で攪拌してみましょう。口の中に刺激がありますね。心地よいスパイシーさです。攪拌によってそれに、果実味ではない、はっきりと旨みが感じられますね。 この旨みを覚えておいて下さい。
3本の中でも、明らかなボディの差。ミディアムボディですが、やや強さがありますね。
タンニン分、熟成で丸みを帯びているのですが、はりつくような渋さがまだあります。上あごや歯茎が刺激されて、締まる感じありますね。
余韻も1.2....7.8と中程度ですが、コクが残ります。もう一度、飲んで、旨みを確認してください。
ここで、A のプラン・ベルヴューを飲んでみましょう。どうですか、先ほどは、よく判らなかった旨みを見つけることができますね。酸味の後に、果実味と旨みがひっついている感じです。
Cのジョンカードに戻ってみると、最初から5分程度ですが、徐々に旨みが出てきていますね。この風味が熟成ワインのまさに特徴であるわけです。
飲みほしたグラスの香を採ってみてください。どうですか。開けてからだいたい30分経っています。
AとBは、酸味が鼻につきますね。ツンとします。Bのほうが強いです。あとAは、果実の香りもするのですが、なにかBの最初の頃の熟れた香りがとれますね。
一方Cは、旨みがでているにも関わらず、途中からスパイスの香りが強くなっていました。今のグラスの空の状態では、まさにスパイスそのものの香りです。クローブやブラックペッパーですね。
ここからは、Aプラン・ベルヴューとBフラン・ラ・コンテスは熟成上のバランスを欠いて来ていることが判ります。一方、Cジョンカードは非常に熟成の状態が良いことを意味しています。
こうして3本を飲み比べると、同じボルドーでも、全くの違う味わいになります。あわせる料理も、微妙に違ってきます。
肉料理であわせていくにしても、酸味と軽やかな味わいにタンニンと苦味が効いた B フラン・ラ・コンテスには鴨肉のローストがあいます。鴨の赤身の部分の味わいと、クセのある滋味が、このワインによく合います。鴨ローストでは珍しくソースなどなしで、ワインとともに食べ進めたいですね。
手軽に味わうなら、野菜のような香りと軽さを活かして、トマトソースとチーズの野菜をあわせたシンプルなピザなどにもよく合います。
一方 醤油の香りとコクのある Aのプラン・ベルヴューにはたとえば、砂糖醤油を使った豚バラ肉のあぶり焼きなどまさに相性抜群。たれの味わいとワインのエキス分がマッチし、コクとタンニンが肉の脂の旨さを甘味にかえてくれます。
手軽に味わうなら、照り焼きチキンやハンバーグなどにもあわせられますね。ただし、あまりタレを濃い目や多くしないほうがワインの味わいが活きます。
Cのジョンカードですが、牛肉の最高部位シャトー・ブリアンなどのきめの細かなフィレ肉に合わせてみたいですね。なめらかな、味わいと旨みが、肉の風味を最大限に引き出すはずです。
香りの面でなら、豪華に黒トリュフを使ったソースですね。ワインならではの香りの広がりを体験できる相性の良さを感じられます。もちろん、シンプルな仔羊肉や牛肉のロースでも、熟成ワインと肉の旨みを味わえます。
さて、こうしてみてきた3本の味わい。それぞれ予想通りのものでした。
その前に産地ごとのワインの特徴はというと。 コート・ド・フランの赤ワインは、しっかりとしたボディがあり豊満で、バランスが良く、きめ細やかなタンニンが特徴で、若いうちからも楽しめますが、5年から10年の熟成をおくこともできます。
コート・ド・ブールの赤ワインはやや重めの熟成向きの赤ワインが特徴で、5年から10年の熟成に向いています。熟成すると、複雑で繊細であると同時に、力強く洗練された香りが現われます。 まさに、今回のワインはそれを裏付けるものです。
さらに、ここからお互いのワインの熟成の進み具合は、開けたときに予想できました。 そのヒントが、実はコルクに隠されています。では、それぞれのコルクを見てみましょう。
A プラン・ベルヴュー(左)が天然コルクで一番長いです。 味わいがしっかりしていて、ある程度の熟成を見込んだコルクになっています。ですから10年たった今、この味わいなのです。
それに比べB フラン・ラ・コンテス(中央)は圧縮コルクで短めのコルク。つまりは、長期熟成を目指していないワイン造りをしているわけです。
ブドウ品種もメルロー主体で、カベルネ・フランが(比較的優しいタイプで、強さではなく華やかさをワインにもたらす)入っていますので。 であれば、やはり早めに飲んだほうが美味しいわけですね。
そして、Cのジョンカード(右)は天然コルクでありながらも、コルクは長くありません。良いビンテージではないことと、長期熟成向けのカベルネ・ソーヴィニヨンの割合を多く使ってないことからも、これより先の長期熟成を目指してないワインだが、その能力の高さから熟成に至っている様子がうかがえます。
つまり、コルクは、ワインの造り手からの熟成に関するメッセージなんですね。 ただ、やはり、コルクが長期熟成向けでないことから、まもなく20年近いこのワインは、ボトルによって、味わいの差がでてきます。
前回の5月の時のテイスティングのものより、こちらのほうが、熟成がゆっくりですね。このあたりが、熟成ワインの難しいところでもあります。
今回のワイン、ぜひとも、なるべく開けたその日のうちに、召し上がって戴くのがお薦めです。熟成ワインは開けたら、早めに飲みきる!覚えておいて下さい。
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