2021年12月度 頒布会ワイン・レポート 2/2
「シャトー・ラ・ジョンカード赤ラベル1995年マグナムボトル【木箱入り】」
「シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1996年」
MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、
テイスティングで紹介していきます。
今週は
「シャトー・ラ・ジョンカード赤ラベル1995年マグナムボトル【木箱入り】」
「シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル1996年」
のテイスティングレポートをお届けします。
ボルドーAOC
メルロー:20% カベルネ・ソーヴィニョン:75% カベルネ・フラン:5%
【マグナムボトルについて】
フランスワインの標準的な、ボトルサイズは750mlであるのに対し、
マグナムサイズは2倍の1500mlの量が入っています。
ワインは、ボトルのまま寝かせておいても、どんどん熟成が進んで、美味しさや香りを変化させていきますが、マグナムボトルで寝かせておくと、このボトル内の熟成がさらに、美味しさをアップさせるといわれています。
この秘密は、マグナムボトルのややずんぐりとした(1500ml)形状にあります。
注ぎ口の大きさが、750mlの標準ボトルとあまり変わらないのに、 胴体部分がどっしりとして、注ぎ口部分の空気にワインが触れにくくなり、より安定した熟成作用をもたらします。
更に、量が多い為、一般の750mlよりも熟成が穏やかになり、 深みのある良質で飲み応えのあるワインに仕上がってきます。
透明感はなくグラスの向こう側はまったく見えません。
中心からエッジにかけて、赤の割合がだんだんと強くなり、 最終的にはこげ茶色へときれいなグラデーションを形成しています。
このこげ茶色がレンガ色になり、やがてオレンジがかってくると、良い熟成を経た、古さの証しです。
複雑な香りはあまり感じられず、若干インパクトが弱いと感じさせます。
グラスを回していくと徐々に木樽の香りが目立ちはじめ、 更に30分から1時間程置いておくと杉の香り、 バラのドライフラワーのような香りが豊かに感じられます。
味の特徴はコクのある酸味。程よくフルーティーさを残しながらもフレッシュな酸味とは違う、 梅干のような熟成感をもった酸味です。
アルコールがしっかり乗ったパワフルな感じを受けますが、 それがこの酸味と合わさって違和感なく喉まですっと入ってくる。
後味に苦味がほどよく存在感を主張して心地良いバランスが取れています。
口に含んでから飲み込むまでが流れるようにスムーズで余韻は7秒。
他のヴィンテージと比べると果実感は一番強く感じるのですが、 熟成の甘味をあまり感じません。
液面には透明な層もしっかりと厚く、力強いアルコール感が予想できます。
さらに18-20度で召し上がって頂ければこのワインの持つ独特のコクがワイン通も唸らせることでしょう。
お召し上がりになる30分~1時間前に開栓しておくとコクの風味にまろやかさが増し、 さらに深い味わいをお楽しみいただけるかと思います。
まさにペッパーステーキが食べたくなる味です。
牛肉の赤身の旨味、脂に感じる甘味、 肉と合わせるならやっぱりボルドーだと強く思わせる味わいです。
スペアリブや子羊など脂の乗った肉料理との相性は最高です。
また梅肉ソースを使った豚肉料理や鳥肉の香草グリルなど、 臭みを消してさっぱりと食べられる料理にも合わせられます。
■シャトー・ラ・ジョンカード紅白ラベル 1996年をより美味しくお飲み頂くために
できれば1週間程、冷蔵庫に立てておいて頂きたいです。
召し上がる時には抜栓して最低30分、できれば1~2時間以上後に飲んでみてください。
従来の紅白ラベルとは比べ物にならない程、美味しいです。
お肉などと召し上がって頂ければさすがの年輪を感じます。
抜栓して30分以内に飲むと薬っぽい味を感じます。
決して薬を入れているわけではなく、古いワインの場合こうした事があります。
私もステーキを焼いて2日に渡って飲みましたが、抜栓後1時間以上後に飲んだ時に、 「さすがジョンカード!」と感じました。
ブルゴーニュの1本5,000円するような物に比べて、 軽く深く、洗練された味わいを感じました。
ブーケとフランスでは言いますが、味が開くのに美味しいワイン程、時間がかかります。
このワインは、赤はもちろん、中心の黒味の部分から徐々にグラデーション色の変化が見て取れると思います。
今回のワインのように段階的に色が異なっているワインは熟成をしていることの証です。
時折、和食タレ、だしを思わせる香りもあります。
そしてこなれた酸味。果実味が酸味と溶け合っている感じです。
タンニンによる渋味が感じられワインにコクを与えています。
この風味があると赤身の肉にあいます。
この鉄分としっかりした渋味を考えると、合わせる料理はやはり牛肉の脂身が少ないものをシンプルに焼き上げたものが良いかと思います。
素材の味わい、香りといったものに合わせていくことができるのは、まさにワインならでは。
羊肉はもちろん、白身の野鳥のジビエなどの風味とあわせればさらにワインの熟成の風味が合います。
せっかくの熟成ワイン、牛肉以外も合わせてみたいですね。
羊肉のグリル・ローストや思い切ってうずらなどの野鳥や鹿肉など最高でしょうね。
赤身の部分にはその鉄分が合わさり、肉の風味・野性味を強調し、肉を食べていることを実感します。
また、もう少し手軽なローストビーフに肉汁を焦がしてかけて焼き上げたものなど香ばしい風味や肉の甘みのような旨みにワインの旨みが良く合います。
こういった肉料理の旨み・野性味には、熟成したボルドー赤ワインの出番です。
他のお酒では味わえない相性を感じさせてくれます。