その昔、ソムリエ仲間でブラインド・ティスティングをしたことがあります。
ソムリエが2人、シニア・ソムリエが2人、計4人で。 このほかにも確かソムリエ資格保持者がいたはずですので、当時のそのレストランは なかなかだったと思うのですが・・・
なにをしたかというと、1人が、ワインを選び、そのワインについてコメントするという単純なもの。 とはいえ、私以外の3人は、仲も良くこういった余興めいたトレーニング などを行っていたのでしょう。手馴れた感じが見えました。
こちらは初めての参加でした。
大げさなものではなく、出されたグラスの中のワインに向き合い順番にコメントを発していくだけ。 ワインの銘柄やブドウを当てることが目的ではありませんでした。
通常こういう場合、どうしても、最初の人間のコメントに引きずられてしまいます。 そこは、ソムリエという変なプライドを持った人種。出来るだけ人と違ったことを語ろうとします。
そのため、各々がしっかりとワインに集中していきます。 密室で、3人もの人間が、何も言葉を発さず、ワインに集中している様はきっと、異様な光景でしょう。
私の感じとしては (色が濃い、香りも強く、蒸れた様な感じ、味わいは・・・ 果実味が濃縮した感のあるワイン。余韻も長め。 品質はいいはずなんだけど、何か素直に好きになれない感じだなぁ)
などと、思いながらコメントの順番がまわってきました。
「・・・品質の良いワインだが、酸味の部分が切れが無く、本来の状態ではないはず・・・。」
なんて、述べたような気がします。
種明かしは、なんと3日(位)前に抜栓したイタリア産の赤ワインでした。
上のようなコメントを発したことで何とか面目を保てた訳ですが、頭には、 そのようなワインが出てくるとは思ってませんから、「ヤラレタ」感がいっぱいでした。
ただ、この経験は、非常に貴重なものでした。今となっては懐かしいですね。
3、4日前に抜栓した赤ワインを飲む度に、酸味の切れ味の無さを感じると この話を思い出します。