ソムリエの追言「甘口ワインって、いつ飲むの?」
ニューヨークで行なわれた14人の晩餐会。
生牡蠣に合わされたワインはドイツ産甘口のリースリング。
時に西暦1883年。
当時の人々は、後に「生牡蠣にシャブリ」という組み合わせが定番になるとは、誰も知らない。
ニューヨークだけではなく、 これはヴィクトリア朝のヨーロッパ諸国も認める公式な組み合わせ。
もちろん、シャブリもあわされていたようですが。
今、日本のレストランでこの組み合わせを行なったらソムリエにビックリされるでしょうねぇ。というか、止められるかも?
その後、生牡蠣とワインの組み合わせも、甘口から、徐々に辛口ワインへとどんどん変わっていったようで・・・。
しかし!現代でも、バルサックという甘口ワインの産地では、生牡蠣に貴腐ワインをあわせているとか。
みんな造り手は自分のワインに誇りを持っています。
そのワインがこの料理に合わないなんて考えませんから。
他の産地のワインを進んで飲むはずがないです。まずは自分のワインから!
ところで、現代の貴腐ワインの組み合わせといえば「フォアグラのソテー」でしょう。
もはや貴腐ワインとの定番の組み合わせになってます。
最近では「北京ダック」と貴腐ワインの相性もいいと聞きます。
これまた高額な組み合わせでしたね。
どちらも脂があり、味付けに甘味を伴うソース・たれが使われているので相性バッチリです。
日本の伝統料理「おせち」にあわせてもいいですね。
日本のワイン研究家によれば貴腐ワインにはカズノコがあうとか。
貴腐ワインのグルコン酸が数の子の苦味を消すという性質がいいらしいです。
でも想像するには、甘さが合うというより、甘さの中にある酸味がうまく料理とワインを取り持つのではないでしょうか。
特に貴腐ワインの甘味以外の旨味やミネラルも、料理を引き立てていると思います。
決して高額なもの同士だから合うということではないと思います。
もちろん貴腐ワインだけでなく、陰干ししたものや、ブドウを凍らせてつくる甘口ワインにも当てはまるでしょう。
以前、このメルマガでも言及したことがありますが、 甘口ワインの消費量が減ってきているそうです。
通り一遍の組み合わせではなく、昔のような、開拓精神あふれた甘口ワインとの組み合わせを探していくことが、甘口ワインがより身近に感じられると共に、甘口ワインの未来をつないでいくように思います。