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名人のこだわり「魚について ~鮎と鱧」

FOND

「FOND」のシェフ、西村さんと。
フランス・ノルマンディー出身では?と思ってしまいますが、
れっきとした日本人です!
今回から西村さんに「名人のこだわり」をお聞きします。


「魚について ~鮎と鱧」

今の時期は鮎と鱧が旬ですね。

FONDでは、「これが食べたい!」という食材やワインなど、
予約いただいたお客様のご希望に合わせた料理をお作りしています。

鮎は白神山地の小さな川で、お爺さんが獲っているんです。
1週間に20匹とれるかどうかという・・・。それを日本料理屋さんで奪い合いになってしまうのですが、そういった鮎を分けていただいてます。

鱧も、週に4尾ほどでしょうか。
今は海がおかしいので、鱧は先週一週くらいは淡路の周りで獲れたのはゼロだったんですね。その上で入ってきたものでも、良くない物があったりする。

鱧というのは、本当に「魚」で決まってしまうんですよ。
魚が良くないと、どんな調理をしてもパッとしない味になってしまう。
一度、ある料理屋さんで鱧が良くなかった事がありました。
素晴しいお店なのですが、それでも鱧自体でそうなってしまった。

ですので、「鱧」とお客様の指定があった場合には仲買いに頼んで2匹買っていますね。使わない方は自分達で食べて・・・そうしないと、今は海がおかしいので仕方がない。

「海がおかしい」というのは、水温が高くなっている事もあるんでしょうね。
台風などでは、海が荒れているように見えますが、あれは海全体から見れば、実は表面的なものです。しかし、津波は底から根こそぎ行ってしまうんです。海底の環境を含め全体に影響を及ぼしたのでしょう。
鱧と直接関係はありませんが、小名浜なども日本一水揚げ量が多い港だったので、影響は大きいですね。

そういった事がありますのでお客様から「鱧が食べたい」という時には、味が悪い物をお出しするわけにはいきませんので、2匹頼まないといけないのです。

この鱧、という魚ですが、実はものすごく味が濃いものなんです。
ほとんどの白ワインには合わないのではないでしょうか。新子よりもです。新子も小肌より味が薄いと思っていましたが、実は味が濃いんですね。それよりも、鱧の味というのは濃い。なので赤ワインの方がしっかりとして合うのではないかと思います。

鱧と賀茂茄子



「FONDの歩み① 幼少期 料理の世界に入るまで」

私が育ったのは、日本橋、三越、にんべんのちょっと裏。
親戚中が薬の問屋でした。

もう大変に忙しいものですから、誰も食事なんて作ってくれない。
そんな暇が無い。自分で作らないといけませんでした。

料理は好きでしたね。
その中で覚えている料理が一つあります。勿論自分用に作っていたのですが、固茹でにした玉子で黄身と醤油を練って味噌のようにしたものです。それを気に入らないおかずの時などに食べるのです。
重宝しました。

実際に料理の世界に入ったきっかけは単純で、雑誌を二十歳の頃に作っていました。 現代詩の本です。勿論当時でも、現代詩ではとても食べていけない。 では、どうしよう、となった時に「2番目に好きな物でやって行こう!」と。

それが、今の仕事を始めるきっかけでした。


次回は
「肉について ~捕獲方法、しめ方について」
「FONDの歩み② シェフは「職業」として。最初の務め先」
をお送りします。


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