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私と柔道、そしてフランス…「はじめに」

【安 本 總 一】
早大柔道部OB
フランス在住
私と柔道、そしてフランス
2017年7月29日
「はじめに」

 2013年来、拙文を、在仏日本人会の下部組織、“フランスでの生活を楽しく豊かに”をモットーとする「マロニエの会(注1)」の機関誌「かわら版」に投稿してまいりましたが、この度、旧知の道上商事社長道上雄峰氏のご好意により、当社メール・マガジンに転載していただくことになりました。

 このエッセーは、私がいかに柔道にのめり込み、それがどのようにフランスにつながっていったかをまとめてみたものですが、本文に入る前に、まず、フランス&仏柔道に関する最近の基礎データ、及び主なホット・ニュースをお伝え致します。

*人口:約6,699万人
(日本:1億2,675万人)  

*面積:64万3,800平方キロメートル
(日本:37万8,000平方キロメートル)  

*政体:共和制  
*元首:エマニュエル・マクロン(2017/5/14就任)  
*議会:マクロン大統領が立ち上げた「共和国前進」が単独で過半数を握る。      国民議会議席定数577議席の内、「共和国前進」が313議席を占める。  
*2016年経済成長率:+1.12%(日本:+1%)  
*2017年第1四半期失業率:9.6%(日本:2.85%)  
*出生率:2.01人(日本:1.44人)  
*在留邦人数(フランス全土):41,641人(2016年10月外務省領事局統計)  
*本邦在留仏人数:約11,640人(2016年12月法務省入管統計)  
*柔道登録人口:約58万7,000人(日本:約16万人)  
*柔道クラブ数:約5,600クラブ  
*有段者数:約4万人

柔道の父 嘉納治五郎師範
【柔道の父 嘉納治五郎師範】
講道館 大道場
【講道館 大道場】

 最近のフランスには、相次ぐテロ事件・深刻な大気汚染・慢性的な失業問題など暗いニュースが多く、この国の将来が憂慮されていましたが、フランス史上最年少の39歳のマクロン大統領の登場で、一気に期待・希望だけは膨らみ、その余韻が残っているといった現在です。

 しかし、第一次組閣直後、4人の閣僚が辞任し、早くも政権運営に暗雲が漂い始めましたが、大統領は“どこ吹く風”といった風情で、泰然と構えています。  政治家ではありますが、″求道者 ″のような雰囲気もあります。

 そんな中、本年上半期世界自動車販売台数ランキングで、ルノー・日産・三菱連合が初の首位に浮上し、フランス経済が緩やかな回復基調にあることを印象づけるニュースや、2024年オリンピックが100年ぶりにパリで開催されることがほぼ確実になったとのホットなニュースで、フランスは沸いています。 

 一方、昨今、フランスでも日本でもよく話題になるのは、柔道の登録人口のことです。 登録システムの違いがあり単純に比較はできませんが、日本の約16万人に対し、フランスは約58万人となっています。 しかしながら、こういう状況の中でも、フランス柔道連盟が“真の柔道を学ぶのは日本においてである”として、毎年多くのJUDOKAを日本に送り込んでいることも事実です。

フランス柔道連盟 本部道場
【フランス柔道連盟 本部道場】

  「柔道」は強靭な身体と忍耐力、諸外国を知る機会、同じ目的を持った多くの友人・仲間などなど、数限りない恩恵を私に与えてくれました。 この「柔道」に対する想いは今も変っていませんが、満身創痍の現在、稽古はできなくなりました。 それでも、フランス柔道連盟の下部組織「Amicale des Internationaux de Judo(国際選手OB会)」の名誉会員として、日仏柔道の親善に協力しています。

 次号からは、私が柔道を始めたきっかけ、厳しい修業時代、英仏での柔道指導時代などについて、お伝えしてまいります。

(注1) マロニエの会:2014年10月、フランスにおける邦人援護活動に尽くしたとして、外務大臣表彰を受ける。

次回は、「第一話 中学時代」です。

筆者近影

【安 本 總 一】
現在




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